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呼吸機能検査装置
呼吸とは,生体が必要とする酸素を大気中から血液中に取り込み,代謝によって産生した炭酸ガ
スを大気中に排出する(ガス交換)機能のことである.この機能を果たすために呼吸器は,換気運
動を調節して血液中の酸素濃度,炭酸ガス濃度,PHが一定になるように恒常性を維持している.
しかし,呼扱器には肺の閉鎖性障害や拘束性障害,ガス拡散能力の低下などの様々な障害が生じ,
ガス交換能力が低下して息苦しさなどの症状がでる,
呼扱機能検査装置は,このような呼扱機能の診断を行うために,呼蚊流量,口腔内圧,ガス濃度
などを測定し,呼吸機能に関する諸指標を求めるものである・また臨床的には,術前の精密検査,
各種診断の補助検査さらに運動生理学検査などこの装置の利用範囲は広い.
以下,呼扱機能検査の主たる3機種について述べる.
呼吸流量計
呼吸流量計は、呼気ガスの流量を連続的に測定するもので差圧式と熱線式とがある。
差圧式は,気流の流れる回路に抵抗体を配置し,ポアズイユの式の原理
=Q×R)を応用し,抵抗体両端の圧力差冪を匠力計で測定して気流量Qを求め,さ
を積分して気量を求める。
この抵抗体に金属細管の束を用いたものをフライシュ(Fleisch)型,金属メッシュ
のをりリー(Lilly) 型と言う.
熱線式は,流路中に一定温度に加熱した細い白金線が配置してあり,
流が当たると,熱線が冷却され温度が変化する,この矢った熱量を測定し,キングの式
から流量を測定する. H=K(T-To)l{l+2π(P.- Cp . d - V/k)
すなわち,気体が奪う熱量 (H)は熱線と気体の温度差 (T-TO)に比例す
そして,この熱線の抵抗をブリッジ回路の一辺にして電気出力の変化として取り出すが,流量と
電気出力は直線的でないので,これを補正するための直線変換回路が必要となる.
電子スパイロメータ
本体の呼扱流量を差圧に変換するフローセンサ
からなる計測部,差圧を電圧に変換する圧カセンサとA/D変換 (10bit,8CH) されたデータ
を取り込み,ROMに書き込まれたプログラムに従い演算・解析する解析部,呼汲波形および測
定・解析結果を表示する表示部,報告書を印字する印字部,操作部とから構成される.
測定は,被検者にノ一ズクリップを付げマウスピースをくわえさせ,安静呼扱の後,ゆっくりと
最大呼気位まで息を吐かせたり,最大扱気位まで扱気させたり,また最大汲気位から最大限の努力
で一気に最後まで呼出させたりなどして,肺の容量に関する肺気量分画(VC),1秒率や最大呼気
流量などの努力肺活量(FVc),フローボリュム(F-V),最大換気量(Mw)など測定する.
総合呼吸機能検査システム
このシステムは,上述したスパイロメータよりも精密・多種項目の呼吸機能が検査できる.例え
ば,100%酸素ガスを大扱気位まで蚊入し,ゆっくり最大呼気位まで呼出しその時の窒素ガス濃度
を記録するクロージングボリューム(CV) 測定,ヘリウムガスと酸素ガスを用い換気の予備能力
の指標となる機能的残気量(FRC)測定,また4種の混合ガスを用いてi回呼扱法により,肺胞
から血液までの酸素移動の程度を調べる,肺拡散能力(DLc0) 測定など検査範囲は多項目に及ぶ.
本システムは,ローリングシール型スパイロメータ と制御コンピュータ (制御部,バ
ルブコントロール部,分析部等)とパソコンにより構成されている.
スパイロメータは,これと連動しているボテンショメータにより呼扱量を電気信号に変換して制
御コンピュータヘ取り込み,測定,解析と表示・演算を受げ持つ2つのパソコンによって,測
定,表示等の処理速度を上げ,解析結果等の表示・プリンタの鮮明度を高めている.
ガス分析計には,CO分析に赤外線扱収方式,He分析に熱伝導方式,N2分析にはガス放電方式
が利用されている.
ロ一リングシ一ノL型スパイロメータの構造
(蛇管口より呼吸が出入りするとピストンが移動し,この移動量をポテンショメータが検出し呼吸量を電気信号に変換する.)
呼吸代謝測定装置
(4)呼吸代謝測定装置
本装置は,換気量と呼気ガス中の酸素および炭酸ガス濃度などを測定し,酸素消費量や炭酸ガス
排出量等の代謝に関する諸指標を求めることができる.
代謝測定には,ブレスバイ方式とミキシングチャンバー方式がある.
ブレスバイ方式の測定は,翼車式ボリュームセンサとサンプリングチューブを付げた
マスクを被検者に装着して行う.ミキシングチャンバー方式の測定は呼扱蛇管と一方弁を付げたマ
スクを被検者に装着して行う.一般にはブレスバイ方式がI呼扱ごとの酸素消費量などが測定で
きること,運動負荷試験 (自転車工ルゴメータやトレッドミルと組み合わせて)にも便利との理由
で,多く利用されている.
翼車式ボリュームセンサー(タービンセンサともいい,流量抵抗や死腔量が小さく,長時間の測定に適している)
なお,肺気量分画測定などのスパイメトリーの測定には被検者にマスクまたはマウスピースを装
着し,これに翼車式ボリ土一ムセンサを接続して行い,心拍出量測定には,心抽出量測定ユニット
をマスクと翼車式ホリュームセンサの間に接続して行う.
(4) 呼吸機能検査装置の保守管理
1) 電子スパイロメータ
@ 気流量センサと本体との接続ケーブルの接触・断線のチェック
A 気流量センサ内部の汚れ
B 熱線式:ブリッジ回路のパランス調整
C 校正:気量校正器を使用し,種々の速度で空気を出し入れして気量を測定する
2)総合呼吸機能検査システム
@ 口一リングシール型スパイロメーの内部の汚れ,空気漏れ
A 吸着剤 (水分・炭酸ガス) のチェヅク
B 残気量:2 L 程度のデットスペースを付加した気量校正器を使用し残気量を測定する
C 肺拡散能力:上記の校正器を使用し,ガス濃度の希釈率を測定する
3) 呼吸代謝測定装置
@ 気流量センサ内部の汚れ,熱線式:ブリッジ回路のパランス調整,
タービン式:回転の具合
A 配管系の詰まりや漏れ
B 02センサの温度印加電圧のチェック
C 校正ガスと気量校正器を組み合わせた。
血圧計
血圧は,心臓から押し出された血液が血管壁に及ぼす圧カと定義されている・左心室の収縮・拡
張に伴って血圧はI心拍ごとに変化している.左心室の収縮に伴った高い匠を収縮期 (最大,最
高)血匝,左心室の拡張に伴った低い圧を拡張期 (最小,最低)血圧という.また,この心周期ご
とに変化する血圧をならした (つまり,1心周期の圧を時間で積分し,1心周期で除した)ものを
平均血圧といい,血匠レベルを表現する最も代表的な指標である.
血匠計は,測定法により観血
(直接法),非観血式 (間接法)に分げられる.
経皮ガスモニタ
経皮ガスモニタ(tcPOz :経皮酸素分圧,tcPCOz :経皮炭酸ガス分圧) (2)経皮ガスモニタ (tcPOz :経皮酸素分圧,tcPCOz
:経皮炭酸ガス分圧)
経皮ガスモニタは体表面にセンサを装着し加温することによって,動脈血化した血管から拡散し
てくる酸素または二酸ィロ炭素ガスの分圧を非侵襲に連続して測定する装置である,
経皮ガスモニタは,採血の必要がなく,連続してモニタリングできることから,酸素障害の予防
や呼扱状態のモニタとして,採血が困難な未熟児・新生児の監視に広く用いられている・
図12に見られるようにtcpoz とtcPco2は同一のセンサとして構成され,機能的に大別すると酸
素測定部,二酸化炭素ガス測定部及び皮膚組織を一定温度に加温する加温部から構成され,両面テ
ープにより皮膚表面に貼り付げて使用される.
加温部の皮膚組織の血管が拡張し血流が増し,組織が局部的に動脈血で満たされた状態になる・
血液中の酸素分子は組織を拡散L,tcP02センサの膜を通過して電解液層に達して,白金電極で検
出される・
二酸化炭素ガスは重炭酸塩を含んだ電解液層に溶げ,その濃度に応じて電解液のpH を変化させ
る・電解液のpHは,照合電極 (銀/塩化銀電極)に対するガラス電極の電位を測定することでモ
ニタできる・これがtcpco2測定の原理である.
このように経皮的な血中ガス測定は,測定部位を加熱してガスを拡散抽出することが大きな特長
である.
(3)呼吸モニタ
患者の容体を正確に知るためには循環系のモニタリングと同様に呼扱の連続モニタが重要であ
る・呼汲の流速波形あるいは炭酸ガス濃度波形として測定されるが,これから呼汲流量,炭酸ガス
排出量・呼汲圧あるいは換気効率などの情報を得ている.
1)流量測定
連続モニタとして一番単純で取り扱い容易なのは,サーミスタを使って温度変ィロとして得られる
流速波形を積分する方法であるが,精度はあまり良くない・しかしべッドサイドモニタとして呼吸
の有無を知るのには便利な方法である.
人工呼吸中のモニタリングには次のような特性が要求される.
@ 呼吸ガスの組成の影響を受げない.
A I次情報として使用するので,精度が良い.
B 測定中に校正を必要としない.
C セソサが患者の口元で流体負荷とならない.
D センサが小型で患者や治療の負担とならない.
E センサがディスポで滅菌が容易である・
従って,このような場合にはオリフィス法とか超音波法などによる高精度な測定法が使用され
る.
2)炭酸ガス濃度の測定
呼汲モニタでは単に呼気終末炭酸ガス濃度を知るだげでなく,同時刻の流量と炭酸ガス濃度から
演算することによって種々の呼吸パラメータを求めるために測定する.
サイドストリーム方式の炭酸ガス濃度測定は,小さなポンプで患者の口元から呼扱ガスをサンプ
リングチューブを介してモニタ内のセンサに導くために,時間遅延を生じたり,速い濃度変化を平
、滑化してしまう.従って,この方式で求められた炭酸ガス濃度では,2次処理ができなくなる・
一方,メイソストリーム方式の炭酸ガス濃度測定はセンサが患者の口元に置かれるので,同じ口
元に置かれた流量センサから得られる流量と同時刻の炭酸ガス濃度が得られる長所がある・炭酸ガ
ス濃度の測定は炭酸ガスに扱光される赤外光を呼扱ガスに当て,呼扱ガスを通過した赤外光の減少
量を測定することにより求める.メインストリーム方式のセンサはその中に光源,受光素予,制御
回路と増幅器を内蔵する.口元に置かれるために取り扱い中に大きな衝撃を受げることが予想され
るので,耐衝撃性が要求される.
3)圧力の測定
気道匠の測定範囲は土100cm H2O と極微小匠であるため,圧力センサに差動型トランスが用い
られたが,半導体技術の進歩により小型半導体匠カセンサが利用できるようになった.
オリフィス法流速セソサのオリフィス両端の圧力は士3 cm H2O 程度なので,ときどきセンサの
ドリフトを補正する必要がある.
パルスオキシメータ
パルスオキシメータ
パルスオキシメータは,脈拍による動脈の血液量変動を利用することによって,連続的に無侵襲
で動脈血酸素飽和度を測定する装置である・酸素飽和度とは,血液中のへモグロビンのうち,酸素
と結合しているへモグロビンの比率を%で表したものである・なお,酸素と結合したへモグロビン
を酸化ヘモグロビン (HbO2),酸素と結合していないへモグロビンを還元ヘモグロビン (Hb)と
呼ぶ.
I) 測定原理
血液が赤い色を示すということは,血液に当たっている光のなかで,赤い色の光はあまり扱収さ
れず,それ以外の色の光はよく奴収されるということである.
血液の赤色はすなわちへモグロビンの色である,また光扱収特性からわかるように,酸化ヘモ
グロビンは赤い光の蚊収が少なく,逆に還元ヘモグロビンは赤い光の扱収が多い.酸素をたくさん
含んでいる動脈血は,酸化ヘモグロビンの比率が大きいために赤色の扱収が少なく鮮やかな赤色に
見える.逆に酸素を消費した後の静脈血は,還元ヘモグロビンを多く含むので,黒みがかって見え
るのである.このように血液の色はへモグロビンと酸素との結合の程度,すなわち酸素飽和度を反
映している.
パルスオキシメータでは,光電脈波を用いることによって,動脈血の情報だげを取り出すことを
可能にしている・光電脈波の振幅は,脈拍によって生じる血流量の変化の大きさのほかに,照射す
る光の波長によっても変わる.これが血液の光扱収特性から酸素飽和度を知る原理である・従っ
て,同じ量の血液が変動している拍動であっても,その血液の酸素飽和度によって得られる脈波振
幅は異なったものになる.このように,二つの波長の光によって得られる光電脈波の振幅の比は,
酸素飽和度によって決まる.
2)利用法
パルスオキシメータは,指,足,耳などの抹消動脈を測定対象とした連続,無侵襲計測が可能で
あることに加え,原理的に校正が不要である.これらの特性は,患者の状態を監視するモニタとし
ての基本的な要求を満たしている.現在では患者監視装置のパラメータの一つとして,必須なもの
とされている.
主な適用例を以下に示す.
・麻酔時のモニタ
・回復室,IcUでのモニタ
・新生児未熟児管理
・呼吸不全患者のモニタ
・患者輸送時のモニタ
・睡眠時無呼扱患者のモニタ
・運動負荷試験
(5)新生児モニタ
呼扱・循環動態に問題のあるすべての新生児は,心拍・呼扱モニタリングが必要であり,特別問
題のない場合でも,在胎週数が短い場合は,生後i週間は行うべきであるといわれている.NICU
(neonatalntensive care unt)では,低出生体重児の呼吸管理が重要なウエイトを占めており,特
に,無呼扱のモニタリングは不可欠となっている.
新生児モニタは,おもに心電図・呼扱曲線・心拍数・呼扱数などをディスプレイに表示し,呼吸
循環に問題のある児や早産児の呼扱・循環動態を連続的にモニタリングするこどを目的とするモニ
タリングである.このような新生児においては状態の急変することが十分に予想されるので,生命
にかかわる重要な警報として,特に心拍数の上下限警報とアプニア (無呼扱) 警報機能を備えてい
る.これは,新生児モニタの最も重要な機能である.
この心拍呼吸機能の検出法について述べる.
1)心電図・心拍数検出部
心臓の活動電位を新生児の胸壁に貼った電極により誘導し,この電気信号を増幅したものをディ
スプレイ上に表示することにより心電図を得る・電極は皮膚に密着し,粘着性ではがれにくく,し
かも導電性の良いものを使用する.
心電図から得られたQRSのRから,次のQRSのRまでの間隔すなわちR-R間隔 [s]を検出
し, 60s(lmin)をこの値で割り,1分間当たりの心拍数としてソフトウェアで演算する.このよ
うにR-R間隔即ち拍動ごとの心拍数を算出する方法を瞬時心拍数法 .
瞬時心拍数法
瞬時心拍数法は,児の状態や予備能を観察できるバリアビリティが監視できる点で優れている.
しかし,値が拍動ごとに変化するため,ディスプレイでの監視に向かない場合もあるので,何抽か
のR-R間隔を平均し,心拍数を算出する移動平均値法もある.これは表示値の著しい変動がない
ため監視しやすく,一般に採用されている方法である.また,監視装置に取り込んだ電気信号には
外来ノイズや体動などによるアーチファクトの混入,ドリフトなどがあるため,これらを除去する
ためにいろいろな工夫が電子回路やソフトウェアに施されている.
2)呼扱曲線・呼扱数検出部
電極は胸壁上に通常2〜3個貼り付け,そのうちの2個は胸部インピーダンス検出にも使用す
る・高周波電流を流して,胸郭のインピーダンス変化を,ディスプレイ上に呼扱曲線として表示す
呼扱数は,呼吸曲線にトリガレペルを設定して,レベルを越えた呼扱曲線を1回の呼扱として
計数する・トリガレベルの設定には,手動設定によるものと,呼扱曲線が大きくても小さくても,
自動的にトリガレベルを設定する自動設定によるものとがある.
(6) 分娩監視装置
分娩監視装置は妊娠中期後期からのNST (non-stress test)検査に始まり,分娩に至るまでの広
範囲な期間において胎児の状態をモニタリングすることを目的としており,安全で確実な分娩管理
上重要な機器として用いられ,胎児心拍数と陣痛曲線とを同時にかつ連続的に記録するための装置
である.
本監視装置はfetal monitor あるいはcardiotocogaph などとも呼ばれている.胎児心拍数と陣痛
曲線の経時的変化を記録し,陣痛発生による陣痛曲線変化と胎児心拍数変動曲線の関係をモニタリ
ングして胎児の状態を認識する.
測定方法には,外測法計測と内測法計測とがあり,最近では一般患者に対しては外測法計測が用
いられることが多く,また,ハイリスク妊娠の分娩期に対しては内測法計測が用いられる場合が多
くなる.
ここでは最も広く使われている外測法(超音波ドップラ,外測陣痛) について述べる.
1) 超音波ドップラ法
本法は分娩監視前から分娩に至るまでの広範囲な期間において最も多く用いられている.
振動子に電圧を加えて超音波を発生させるには,超音波の連続波(2~3MHz) を用いる方法
と,ロングトレインパルス(数十がS) と呼ばれているパルス波(lMHz程度) を用いる方法とが
ある.
前者は,超音波を発生させる送波用と,受波用のそれぞれ専用の振動予から構成されている.
連続的に発射された超音波は心拍動により変調を受げ,反射波として受波用振動予で電気信号に
変換される.この電気信号を検波し,可聴周波信号として聴取するものである.
後者は,送波と受波とを共用する振動子を用い,それぞれを交互に行う時分割方式である.利点
として次の事柄があげられる.
@ 送受波共用であるため,心拍動信号の採取範囲が広い,
A バルス波であるためトランスデューサと母体腹壁との接触ノイズが少ない.
B 比較的周波数が低いため超音波の減衰が少ない.
超音波ドップラ法によって得られた胎児心拍動は瞬時心拍数に演算・表示されて心拍数変動パタ
ーンとして評価される.
2) 外測陣痛計
Smyh のガードリング法を基本とした方法が一般的に採用されている・母体腹壁上に装着した
トランスデューサをべルトでしっかりと固定し子宮収縮を反映した陣痛曲線を検出するものであ
る・子宮収縮に伴う腹壁の堅さの変化によりトランスデューサ内のストレンゲージにひずみを生じ
させることを原理としている.子宮内圧を示すものではないが陣痛曲線を得る簡便な方法として臨
床の場で最も普及している.
心臓のリズムは,洞結節の規則正しい興奮によって支配されるが,洞結節以外の興奮性が高まる
と不整脈の原因となる.不整脈を誘発する因子として,心筋虚血,心肥大,電解質異常,薬物中毒
などが知られている.心筋の興奮が各所でばらばらになり,勝手に興奮と拡張を繰り返す「細動」
と呼ばれる状態に陥る場合がある.この状態が心房に起きた場合を心房細動,心室に起きた場合を
心室細動と呼ぶ.特に心室細動は心拍出量の激減を招くので,心停止と同様にその治療は緊急を要する.
除細動器
除細動器は,心筋繊維がまちまちの収縮(細動・粗動)を行い,体に血液を送り出すポンプとし
ての機能が失われた時,強い電流を短時間心臓に流し,心臓の規則正しい収縮を取りもどさせる装
置である.
1)基本動作
高電圧発生回路で発生させた高電 Vを,充放電リレーSを介してコソデツサCに充電する.
除細動時に充放電リレーsを生体側に切りかえると,コソデツサに蓄えられた電気工ネルギー
W=(1/2) CV2ジュール[J]は,コイルL とその内部抵抗を介して生体Rに通電される.心筋細
胞に尖頭的高圧波形を加えると一時的な細胞破壊を生ずるばかりでなく,再活性に時間がかかる.
このために放電回路に必ずコイルを入れるが,コイルは生体に流れる通電電流波形を鈍らせ,火傷
などの生体の損傷を最小にする,従って,コイルの役割は非常に重要である.また,通電電流波形は
生体の抵抗によって変化する。
除細動器には,出カエネルギーの設定機能がある.この設定値は,コイルなどの内部抵抗による
損失を考慮し,生体の抵抗を50のと仮定した場合に生体に加えられるエネルギーで表示してい
る・実際には生体の抵抗は一定ではないので,実際に生体に加えられるエネルギーと設定したエネ、
ルギーとは一致しない.一般に出カエネルギーの上限は,胸壁などから間接的に心臓に通電する外
用バドル電極では36O[J],直接心臓に通電する内用バドル電極では50[J]に制限されている.こ
れは大きすぎるエネルギーで心臓の筋肉に損傷を与えるのを防ぐ配慮からである.
2)装置の種類と用途
除細動器には,使用目的及び機能別に次のような種類がある.
@ 一時的使用ぺ一シング機能付き除細動器
非侵襲的一時ぺ-スメーヵを内蔵したり,又はオプションのぺ一シングアタッチメントを後から
つげられる装置・心室細動が発現した心臓の正常調律を確立する為,電気ショックを供給し,心電
図(ECG)を表示する.患者の蘇生,不整脈治療,一時的ぺ一シングのために,心臓全体を同時
に刺激する電気インパルスを供給する機能がある.装置に備わっているモニタによって心電図が表
示され,不整脈及び治療効果を確認することができる.
A 全自動除細動器
心電図(ECG)を解析して,除細動ショックを供給するかどうかを判定できる装置.ECGのモ
ニタリングと除細動放電の両方に機能する粘着性の除細動電極を介して患者に装着される.本装置
では,操作者の介助なしに,患者にショックが供給される.日本国内ではまだ販売されていない.
B 半自動除細動器
心電図(ECG) を解析して,除細動ショックを供給するかどうかを判定できる装置,ECGのモ
ニタリングと除細動放電の両方に機能する粘着性の除細動電極を介して患者装着される・本装置で
は,ショックを供給すべき時点を操作者に知らせ通電は操作者が行う・
C 手動式除細動器
体外又は体内の電極を通して電気パルスショックを供給することによって心臓の除細動を行うこ
とことを目的とする・通常,心電図(ECG)モニタを備えたものや,ECGのR (QRS) 波に同期
して除細動が行える機能を備えたものもある・ECGの解析とショックの供給は操作者が手動で行
D 非医療従事者向け自動除細動器
全自動除細動器,半自動除細動のうち,容易に手動モードに出来ないものをいう・音声指示と簡
単な操作により一般市民でも使用できる,自動体外式除細動器(AED= Automated External
De丘brillator) の普及が始まった.
E 自動植込み型除細動器
心電図(ECG) をモニタリングするために体内に植込み,頻拍が検出された場合に,心筋に除
細動パルスを供給して心拍数を正常に低下させる.薬物や手術では治療効果の望めない再発を伴な
う心室細動や心室性頻脈が適用対象である.
F・電話操作除細動器
電話接続によって,患者から離れた場所で医師が心電図診断と除細動器のコントロールができる
システムである.心電計(ECG) の機能を備えたポータブル除細動器,マイクロホン,電池,移
動式電話 (通常携帯電話)コントロールパネルと記録機能付心電図デイスプレイから成るべ- スス
テーション (ドクターが在中している基地)から構成される.日本ではこのシステムはまだ導入さ
れていない.
3)除細動器の保守
除細動器は実際に使用される頻度は少ないが,必要なときは確実に早く動作しなげればならな
い・このため装置の故障状態を自己診断したり,放電工ネルギーチェッカが内蔵され定期点検時に
装置の故障をモニタできるようになっているものも多くある・これらの機能を利用して使用者側で
の定期的な点倹が大切である.またバッテリには寿命があり,老化したバッテリでは除細動の可能
回数が激減し非常に危険である.バッテリの定期的なチェックとその交換時期の管理を是非行って
ほしい.
機能的電気束激装置
1)機能的電気刺激FES (fnctonal electrcal stmulaton) と低周波治療器は神経・筋系を電気
刺激するという方法は同じであるが,後者は刺激部位の治療が主な目的であるのに対し,FES
は刺激装置を常時携帯し,必要に応じて電気刺激で刺激部位を機能させることで生活上の不便
を軽減することを目的とする点が異なる・
代表的なものとしては,心臓ぺ-スメーヵや最近では横隔神経を刺激し呼扱を維持する横隔
膜ぺ一シングがある,また,整形外科,リハビリテーションの分野において,脊髄損傷で下半
身不随になり,治療が終了した車椅子生活の人が下肢を電気刺激している間,起立機能を再獲
得する例などがある,ただL, FESも筋力の改善等治療的に用いることもあり,低周波治療
器とオーバラップする部分もある.
2) FES の刺激方法には表面電極法と埋め込み電極法の2 種類がある。前者は手術の必要なく
簡便に使用できるが,刺激に伴う柊痛や不快感がときにみられる,後者は各筋を選択的にしか
も小さなエネルギーで刺激でき,刺激効果も安定している.
埋め込み電極法はさらに2種類あり,電極だげを埋め込み,刺激装置は体外に置く方法
と,電極・刺激装置共に体内に埋め込む方法である,前者は簡便であるが,電極の導出部の保
守に手間がかかり,後者は装置の埋め込み手術を伴う.




