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電子内視鏡
| 電子内視鏡 (electronic endoscope)は1983年、米国のウェルチーアリン (Welch-Allyn)社によって初めて開発され、Video Endoscope として発表された。 |
| わが国ではI985年に東芝、富士写真 光機 (フジノン)が、1986年にオリンパス、ペンタックスがそれぞれ発表し、順次販売を開始している。 以来、近年の電子技術の飛躍的な発達に助げられて短期間で性能が向上し、急速に普及している。 本項では電子内視鏡の原理と構造、ならびに電子内視鏡が可能にした新しい技術について、将来的な展望も含め解説する。 |
| 原理と構造 |
| 電子内視鏡の特徴は先端に固体撮像 (または電荷結合)素予Charge Coupled Device (以下CCD)を内蔵していることである。 |
| 光源からの導光は従来のファイバースコープと同様、グラスファイバー束で行なっているが、体内での反射光は先端のCCDで電気信号に変換され、 スコープ端のCCDで電気信号に変換され、スコープ 内を通ってビデオプロセッサヘ送られ、テレビ信号に変換されてTVモニターへ映し出される。 |
| CCD で画像を電気信号に変換する部分はアマチュア用のビデオカメラと基本的に同じであり、 電子内視鏡がVideo Endoscope とも呼ばれる理由になっている。 |
| 現在、電子内視鏡の先端のCCD は、大きさ2〜3 ミクロンの素子25万個以上から構成されている。 従来のファイバースコープのイメージガイド用グラスファイバー束は直径約7ミクロンのグラスファイバー3〜4万本で構成されており、電予内視鏡がファイバースコープに比べ、解像度や色の再現性に優れた画像を持つことがわかる。 |
| 一方、CCD単独では白黒画像しか得られないので、赤 (R)、緑 (G)、青 (B)と順番に色が変化する照明光を用いるか、あるいはCCDにカラーフィルターをかげてカラー撮像をしている。 撮像方式には単板RGB 面順次方式と単板カラーチップ同時方式の2 種類がある。 単板RGB 面順次 方式は照明光を回転するRed (R)、 Green (G)、 Blue (B) の3 色のフィルターを通して色を変化させ、対象からの反射光を,順次CCDで受げるものである。 |
| 一方単板カラーチップ同時方式は、 CCD上にRGB各色のフィルターがモザイク状にかげてあり、対象からの反射光をこのフィルタ ーを通してCCDで受げている。 |
| このため、単板RGB面順次方式は解像度が高く、またCCDを小さくでき、内視鏡を細径化しやすいという長所があるが、TVモニター上の画像に色ワレが出た 内視鏡の速い動きに際して画像が跳ぶといった短所もある。単板力うーチップ同時方式は、これは逆の長短所を有する。 |
| しかし、現在の電子内視鏡は短所がかなり克服され、撮像方式による差は少なくなっている。 |
| (2) 電子内視鏡を用いた新しい技術 |
| 電子内視鏡が従来の内視鏡と異なるのは、画像を電気信号として取り扱えることであり、これを 利用してさまざまな性能の向上、新技術の導入が可能になっている。それらの主なものを表に示す。 |
| まず、画像がTVモニター上に表示されるので、その場の全員が検査医と同じ画像をみること ができる。これは生検など介助が必要な処置や教育(患者も含めて)に役立つ。 |
| また、静止画像のハードコピーが簡単にでき、ビデオテープへの動画記録も従来のファイバース コープ使用時より行いやすくなったので、資料としての保存、研究・教育への利用、力ルテへの添 付など、画像が幅広く利用できる。 |
| 電子内視鏡自体の問題として、CCDの小型化、素子数の増加、あるいは観察の妨げになる凸部 からの反射光の軽減などの性能向上が技術進歩によって達成されれば、スコープの細径化、画質 向上が望め、正確な診断や苦痛の少ない検査が行なえる。 |
| 現在、電子内視鏡も含め、画像の記録はフィルムを使うことが多い。しかし、その保管方法、 保管場所、画像の経時的な劣化、あるいはフィルムの紛失など、多くの問題がある。電子内視鏡画像 が電気信号であることを利用すると、内視鏡画像の記録に光ディスク、光磁気ディスク、ハードデ ィスクなど、フィルム以外の新しい記録媒体を用いることができ(内視鏡写真フィルム、ビデオテ ープその他の記録媒体その他の項参照)光ディスク、フィルム記録が持つ諸問題を改善することになる。 |
| 一方、電子内視鏡からの電気信号の取り扱い方にはアナログ方式とディジタル方式の2種類がある。 内視鏡画像Iコマは1メガバイト弱の情報量を持っている。 これはパソコンに使う通常の5 インチフロッピーディスク1枚分に相当する。 |
| 電子内視鏡画像はディジタル方式による記録、検索、再生・表示(これらをまとめてファイリングといい) が理想である。 |
| しかし現時点で はこのファイリングに時間がかかることなどの技術的な諸問題に加え、高価格であることなど、今後解決すべき問題が多く、ディジタルファイリングを一般の内視鏡診療に導入するにはまだ時間がかかりそうである。 |
| 一方、同じ電気信号でもアナログ方式は瞬時にファイリングが行なえる。このため、すでに記録媒体に光ディスクを用いたファイリングシステムが市販されている。 画質がディジタル画像に比べて遜色のないアナログ記録方式が一般的になれば、フィルムに代わってアナログファイリングが、より汎用されることになろう。 |
| 電気信号である電子内視鏡画像は、輪郭強調、色彩強調、色情報の特徴抽出、形態情報の特徴抽 出、画像合成など、さまざまな画像の処理、解析が行える。これによって、病変の特徴をさらに強 調して、診断に有益な情報を得ることもできる。 |
| レコードや8mm、l6mm の映写フィルムがCD やレー ザーディスクに代わり、テレビがハイビジョン化されることと同様に電子内視鏡画像が電気信号であることを利用した新しい技術が実現されるにしたがって、 内視鏡診療も新しい時代に向かうことになる。 |
| また、将来、中央コンピュータの制御下に病院内各所に設置された端末で画像や患者情報の入力、検索・ 表示を行ったり、国内外の他の施設との間で画像・情報を提供しあうといった大がかりなネソトワークシステム (PACS、ISAC など) も実現すると予想されるが、 電子内視鏡および内視鏡診療に関係した新しい技術も、これら新しいシステムの一部として機能させることができるわげである。 |
※CCD (Charge Coupled Device Image Sensor)
とは半導体素子の製造技術を用いて集積回路化された
光電変換素子のひとつで、ビデオカメラ、デジタル
カメラなどに広く使用されている半導体素子のこと。
電子内視鏡システム
CCD
| CCD は"Charge Coupled Device"を略した呼称で,本来は電荷の転送を利用して作動する電子 素子の総称的な名称だが、現在では固体撮像素子としての意味が定着している。 CCDの基本的な作動は、画像を構成する単位となる画素に対応する電子的な井戸に入射した光に比例する電荷を蓄積して、 駆動部からの電子的な操作 (パルス信号)によりこれを定められた順序で外部に送り出すことで画像を電気信号に変換する。 |
| CCD上で電位によって作られる電子的な井戸に蓄積される電荷の状態の比較を示す。 の方式があるが、内視鏡で各画素に蓄えられた電荷、すなわち画像信号の取り出し方には数種類 は主に2通りの方法がある。「フルフレーム転送方式」は,画面の画素 (電子の井戸)をそのまま 利用するもので、I行づつ信号の電子を垂直転送して先ず水平転送レジスターに移し、つぎに水平 転送レジスターから順次I行分の信号を送り出す動作を繰り返す。「インターライン転送方式」で は、全ての画素の列にそれぞれ対応する遮光された垂直転送レジスターに各画素の信号を一斉に転 送しておいて、次に上記と同様に、行ごとに順次水平転送レジスターに送り信号を取り出す。 |
| この双方の作動方式に共通して、受光して電子を蓄積する期間に画素からオ一パーフローした 電荷が隣接する画素に流れ込んで影響を与えないように、余剰となった 電子を取り除くオーバーフロードレーン構造があり,この機能をアンチブルーミング機能とも呼ぶ。 これらの作動はすべてCCD 駆動回路( ドライパー) による駆動パルスにより半導体上に発生さ せる電位の制御で行われる。CCD は高絶縁性で非常に精細な構造を持ち、電気的なショックに弱 いので、これを内蔵する機器の着脱時には予め電源を切っておくことが要求されることがある。また修理中にccDへの信号線を外す時は,配線の端子をすべて一点にまとめる等電位化処置をし て、静電気等による異常電流から保護しておくことが必要である・その他の注意が4・5項 「保守と修理に関する一般的注意」に記してある。 |





